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旬の食材Seasonal Food

Vol.53 『鯛(タイ)』 (3月~6月)2014.04.15

スズキ目タイ科。仏語で dorade ドラード。

中でもマダイは「百魚の王様」と言われ、日本では祝い魚として特に珍重される。

「エビで鯛を釣る」の譬えどおり、エビを好んで食べて、産卵を控えた春のマダイは体色も美しくなり 『桜鯛』 と呼ばれ、極上品として扱われる。

タイと名の付く魚は数多いが、マダイに準じる正真のタイと言えるものには、同じタイ科のチダイ(チコダイ)、キダイ(レンコダイ)、ヘダイ、クロダイ などがある。

刺身、焼き物、かぶと煮、タイ飯、椀物など どんな調理にも適し、フレンチのメニューにもよく登場する。

サクラチップで軽く燻して、春野菜とサラダコンポーゼに。 ベルモット酒でふっくらと蒸し、アラで取ったブイヨンに春菊のピュレと柚子の香りを加えて。 また皮を香ばしくポワレして、春キャベツと白いんげんのブレゼを付け合わせに、落花生オイル風味のソースでどうぞ。


Vol.52 『牡蠣(カキ)』 (真がき10月~2月)2014.04.15

仏語ではhuître。旬は秋から早春にかけてであるが、養殖・流通が発達し、最近では通年メニューから欠かせない。

夏が旬の岩がきもクリーミィーで魅力十分。

欧米では、英語でRのつかない月(5~8月)は食べてはいけないと云われるが、これは牡蠣の産卵期と一致し、生殖巣などが傷みやすい時期だからと警戒したためである。

グリコーゲン、タウリン、ミネラル、ビタミンなどを多く含み、「海のミルク」ともいわれるほど、牛乳に匹敵する高い栄養価がある。

産地としては、北海道、岩手、宮城、広島などが有名。

鮮度の良い大ぶりの殻牡蠣にはフランス風にエシャロットヴィネガーを添えて。

また、裏漉しピュレにしてロワイヤルやスープ仕立てで提供。

旨味を凝縮した牡蠣のリゾットや、香ばしくムニエルにしても美味しい。

エクロールのカキフライは、タルタルの替わりに、トリュフと半熟卵のエクラゼをソースに。

『牡蠣好きのための牡蠣づくしコース』を用意することも。

 


Vol.51 『韓国野菜 ドドク』 DoDuk2014.04.15

韓国の 金 正來 さん(れいさん Vol.40・44) からまたまた珍しい、今度は野菜を頂いた。

日本ではあまり知られていないが、つるにんじん(蔓人参)と呼ばれているもの。

土を洗って、見た目は牛蒡か朝鮮人参。 皮を剝いたら手が少しねばねば。焼いてみると、ほくほく甘く、独特の苦味があるが、加熱するうちに苦味もやわらぐ。繊維はタケノコほどはなく、かと言って白アスパラガスとも違う。不思議な味、不思議な食感。

キキョウ科に属し、若芽、根を食用とし、疲労回復・滋養強壮・去痰効果のある生薬としても利用される。

韓国では、麺棒などで叩き、その繊維質を柔らかくしてから調理するそうで、コチュジャン・醤油・砂糖・大蒜・胡麻油等がベースの甘辛いタレを塗って焼くことが多いと聞いた。

また、皮のまま揚げたり、茹でたものを冷まして和えものにして食べるそうだ。

れいさんの勤めるお店では、焼き茄子と共にスープにして提供しているとの事。

あの三ッ星シェフ Pierre Gagnaire も気に入って、フランスに持ち帰ったとか。

れいさん、いつもいろいろと紹介して頂いて、ありがとうございます!

 


Vol.50 『セープ』 Cèpe (仏産9月~11月)2014.04.15

日本ではヤマドリタケと呼ばれるイグチ科のきのこ。

同種でイタリア産のポルチーニ porcini の呼び名のほうが広く知られているかもしれない。

ちなみに porcino の語義は「子豚」。 ずんぐり、堂々とした風格に、ナッツのような独特の強い芳香と旨味は、まさにきのこの王様。 ヨーロッパではポピュラーでありながら、日本のマツタケのように珍重されている食材。 純粋培養による栽培は難しいらしく、流通しているものは全て森林で採取されたもの。

乾燥品はとても美味なだしが出るので、ソースやピュレに利用。

フレッシュが出回る期間はわずかなので、良いものが入荷した時にはぜひ使いたい。

フライパンにバターを熱し、セープとみじん切りしたエシャロットを加えソテーして、ボルドー風 Cèpes à la bordelaise に。 またこれをオムレツの具にすることも。

なめらかなフランに仕立て、フォワグラの燻製とアワビのコンソメ蒸しを添えたり、フリカッセ(軽いクリーム煮)にして、牡蠣や帆立貝などの魚介と組み合わせる。

軸の部分とタマネギ、にんにくをみじん切りにして、挽き肉と混ぜ、傘に詰めオーヴンで焼いた Cèpes farci (ファルシ=詰め物) も喜ばれそう。


Vol.49 『荔枝(ライチ・レイシ)』 (6月~7月)2014.04.15

中国南部からインドシナ半島にかけて原生する常緑小高木。

赤茶色の皮をむくと、みずみずしい白色透明な果肉が現れる。芳香に多汁で甘味がある。

唐の玄宗の妃・楊貴妃が好み、玄宗は数千里の道のりを8日8晩かけて騎馬に運ばせた

という故事で知られる。

中でも中国海南島で採れる最高のプリンセスグリーンライチは 「妃子笑(ヒシショウ)」 と呼ばれ、楊貴妃もその美味しさに顔をほころばせたとの言い伝えから名付けられたそうだ。

生果は初夏の限られた時期のみ出回る。

珍しいのでデザートにそのままお出ししたり、シャンパンに加えて食前酒で提供。

また前菜として、レモンバームでアンフュゼして赤座海老のサラダに添えてみる。

 


Vol.48 『海胆(ウニ)』 (3月~8月)2014.04.15

海栗、雲丹(卵巣を塩漬けしたもの)とも書く。

仏語では oursin ウルサン。

独特の甘味と、とろけるような食感が魅力。

産卵期前の春から夏が旬。

市場では赤みを帯びている赤ウニと、黄みが薄い白ウニに大別される。

赤ウニ系は、バフンウニ(東北~九州・産卵期3~4月)、エゾバフンウニ(北海道~東北・産卵期7~10月)。甘味があり、身の締りがよい。エゾは国産品中最も水揚げ量が多い。

白ウニ系は、ムラサキウニ(青森~九州・産卵期6~8月)、キタムラサキウニ(北海道~東北・産卵期9~11月)。

 

よく知られている棘(とげ)の長いタイプのウニはこちら。

写真では殻を割るとたっぷり入っているようだが、実際は殻の内側に5列放射状に並んで

くっついている卵巣(精巣)を、スプーンなどですくって取り出す。

エクロールのおすすめ料理としては、季節の野菜のムースや冷製スープにウニとコンソメジュレを添えた前菜。またTROISGROSのスペシャリテでもあるウニのスクランブルエッグ。

ウニのスフレ、ウニと蟹のパートブリック包み揚げ、ウニをのせたオマール海老のワイン蒸し、などなど。


Vol.47 『京醤排骨』2014.04.15

2010年6月、エクロールで調理研修をされた 台湾の 蔡 建瑋 さん(さいさん)は、台湾で

料理屋を営むお母さんを助けるべく、異業種から心機一転、料理の世界へと転職。日本で語学、調理を学びながら、寝る間も惜しんで働くタフガイの努力家。そして心の優しい人。

研修中毎日のように 「シェフ、作ってきたよ~」と、自宅で台湾料理の数々を作って持って来てくれた。 その中の一品がこの『京醤排骨』。 排骨は豚のスペアリブ、京は「北京」風。

五香粉や肉桂、唐辛子などの香辛料が効き、甜麺醤、辣椒醤、蠔油醤、味噌、黒糖などからなる甘辛ダレがからみつく。 これは旨い! 台湾では好んで家庭でもよく食べる料理で、 さいさんの“おふくろの味”でもあるそうだ。

仕込み時間には調理場でもBGMを流しているが、「シェフ、CD持ってきたよ~」と、かけたのは’80年代ビルボード・ヒットチャート・メドレー!世代を同じくして二人だけで盛り上がってしまった。 そして研修最後には 「シェフ、プレゼントあるよ~」と、なんと私の似顔絵??

が、これは……! 荒波を背に、『燃える! 職人魂』 と書かれたその男、マッチョマンは、

まさしく【北斗の拳】!!!

そんな風に見られてたのかなぁ。    さいさん、謝謝。


Vol.46 『そら豆』 (4月~6月)2014.04.15

空に向かってさやがつくので「空豆」、さやの形が蚕に似ているから「蚕豆」とも書く。仏語では fève (フェーヴ) と呼ぶ。 「そら豆がおいしいのは3日間だけ」 と言われるほど、鮮度のよい時が短いので、さやから出したら早めに調理したほうが良い。茹でて皮をむきバターソテーしたり、さやごとグリルパンで“焼きそら豆”にして仏産フルール・ド・セル(塩の花)を添える。 ピュレにしてスープやフランに仕立て、魚介と組み合わせても美味しい。

黒いつめの部分を「お歯黒」というが、子供の頃から印象に残っているのは、市原悦子さん、常田富士男さんの語り口が魅力的な 「まんが日本昔ばなし」 の 『ソラ豆の黒いすじ』 というお話。 炭、ワラと共に伊勢参りに出掛けた途中、笑いすぎてそら豆の頭が破けた。通りかかった女の人が縫ってくれたが、緑色の糸を切らしていたため、黒い糸で縫うことに。

そら豆に黒い筋ができたのはそのときからだそうだ。 なるほどと楽しく見ていた憶えはあるが、今見返すと… 意味深な話である。


Vol.45 『笠子(カサゴ)』 (11月~4月)2014.04.15

日本では北海道南部以南の各地沿岸に分布し、岩礁に住む磯釣りの対象魚。

仏語での呼び名は rascasse ラスカス。

水深や環境によって体色が異なり、浅い岩場にいるものは黒っぽく、深い所にいるものは

赤みの強い色をしている。

仲間に ゆめかさご、おにかさご、ふさかさご など。

身は引き締まった白身で、から揚げ、煮付け、ちり鍋 などでその持ち味を発揮する。

エクロールでも フリットやロティ、または“蒸し焼き”で提供。

南仏プロヴァンスのイメージで、サルピコンに切り揃えたパプリカやズッキーニなどの野菜と、たっぷりのハーブ、そしてオリーヴ入りのトマト風味のヴェルモットソースで。


Vol.44 『五味子(オミジャ)茶』2014.04.15

韓国の 金 正來 さん(れいさん Vol.40 『韓国海苔』) から珍しいお茶を送って頂いた。

韓国の伝統茶の一つで、その名は 甘味、酸味、苦味、辛味、塩味 の五つの味がすることに由来する。 朝鮮五味子(チョウセンゴミシ)の赤い果実を乾燥させたものを、水に一晩漬けてから、好みで砂糖や蜂蜜を加えるなどして飲む。 天然のきれいな朱色。 滋養強壮に効き、美容・健康にも欠かせないそうだ。 料理にはグラニテ(ソルベ)や、果物に味を染み込ませて使うと良いと教わったので、早速試してみることに。

れいさんは現在、石鍋シェフプロデュースのソウルの新しいレストラン『Oroom Dining』で、

Chef のアシストとして、多忙な毎日を送っているとの事。 頑張ってください。

再会はぜひソウルで、と願っています。


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