旬の食材

旬の食材

Vol.58 『黒いちじく』 (8月~10月) 2014.04.15

58秋の新作デザート 『黒いちじくと巨峰のクリスピーなタルト レモンミルクのソルベ添え』。
パート・フィロ Pâte fillo と呼ばれる、トウモロコシ粉が主成分の薄く軽い生地をカップ型に焼き、中にはふんわりしたカスタードクリームを詰め、旬のフルーツをのせてみる。
フレッシュの出回る時期がごくわずかで、8月から市場にお目見えする、カリフォルニア産“ブラック ミッション” こと、黒いちじく。 食物繊維やミネラルが豊富で、血液をきれいにし、美容効果も抜群。 国産物は九州・広島・佐渡・石川などで晩秋まで収穫される。
オーヴンの余熱でセミドライにしたものを組み合わせても食感がおもしろい。
深い紫色の果皮に凝縮した甘み、濃厚な味わい。
バランス良く、さっぱりしたレモン風味のミルクシャーベットを添え、お酒好きの方には香り付けにリモンチェロも振りかけて。


Vol.57 『バターナッツ スクワッシュ』 Butternut Squash (8月~10月) 2014.04.15

57かわいらしい瓢箪のような、ピーナッツのような形をしたこの野菜は、スクワッシュ(ウリ科)と呼ばれるカボチャの一種。 周りの皮はベージュ色だが、中身はきれいなオレンジ色。
普通のカボチャより水分がやや多めでしっとりした感じ。
アメリカ、ニュージーランドなどから輸入品が通年、三浦半島産は秋に出回る。
ガーリックオイルとエルブ・ド・プロヴァンスで和え、“焼き野菜のマリネ”にして提供したり、グラタンやフリット、ピクルスにしても美味。
今回はなめらかなスープに仕立て、仏産ムール貝と、アクセントにインディカスパイスを少々散らしてみた。


Vol.56 『鯒(コチ)』 (真ゴチ6月~8月) 2014.04.15

56上から押しつぶされたような平たい頭に円錐形の胴体。 英語名は形そのまま flat head。
神官が持つ“しゃく・こつ(芴)”に体形が似ているから、または骨が硬いことからコツ(骨)が、「コチ」と呼ぶようになった。 『鯒』は飛び踊るようにして逃げる姿から。

天ぷら種にされる「メゴチ」と区別するため「マゴチ」と呼ばれる。 生まれて2歳までは雄で3歳頃から40㎝を超えると雌に性転換する。 砂泥地に生息し、浅瀬で産卵する旬の夏には脂が乗ってくる。
塩焼きにしても頬の身が旨く、「コチの頭は嫁に食わせよ」という諺もあるほど。
低脂肪でたんぱく質が多いので、夏バテにも格好の食材と言われている。
こりこりした歯ごたえのしまった白身はカルパッチョに最適。南仏ではブイヤベースの材料として欠かせない。エクロールの代表料理としては、香ばしくグリエして干海苔風味の魚のうらごしスープに浮かべて。 または、さっぱりとマリニエール仕立てでレモンタイムとミントオイルの香りを添えて。


Vol.55 『十全茄子(じゅうぜんなす)』 (7月~8月) 2014.04.15

55新潟県は なすの作付面積日本一。
その種類も18品種と多彩な「なす王国」。
子供の頃から食卓で慣れ親しんだ“あの茄子”が残念ながら東京ではお目にかかれない。
ここ数年お盆の帰省中、楽しみの一つになっているのが、“あの茄子” こと、小ぶりで巾着(きんちゃく)型をした 『十全なす』 の漬物。
生まれ育った燕市やお隣の三条市の特産と知ったのは最近の事で、栽培の難しさ、収穫量の少なさから特定の産地でしか作られず、県内消費が殆どであったらしい。

平成元年の頃からは新潟市曽野木地区でも盛んに生産されるようになり、ネット通販などでその美味しさが徐々に県外にも伝わるようになってきたそうだ。
「十全」とは地名で、村松町旧十全村の農家の娘さんが、燕三条付近の西蒲原に嫁いできた際、泉州水なす系統の種を持ち込み、それが後に広まったと言われている。
鮮やかな紫紺色の薄い皮の中は、緻密でジューシーな甘味のある果肉。“浅漬け”に最適で、丸ごとかぶりつくとプッシューと漬け汁が飛び散り、薄じょっぱさの後に口中になんとも言えぬ旨味が広がる。

越後冷酒片手に、「うんめぇ」 そして “懐かしい” 新潟の夏の味。


Vol.54 『岩中豚(いわちゅうぶた)』 2014.04.15

601文京区千駄木の閑静な住宅街で、「ブラッスリー ペルル」 の店主として、日々奮闘される横山 正人さん。

いつも快活な、人なつこい笑顔とあたたかいおもてなしでお客様を迎えてくれる、人気急上昇中のお店。
夏のおすすめメニューから作って頂いたのは、『岩中豚のグリエと豚足のパネ』。 香辛料などと煮込んでから網焼きした豚肉は驚くほど柔らかくジューシー。 コラーゲンたっぷりの豚足はパン粉をまぶして焼いたブラッスリー料理の定番! トマトソースとの相性も抜群。
「岩中豚」は岩手中央畜産のブランド豚。 資料、農場、品質にこだわり、健康に育てた豚肉は純白で適度なしまりの脂肪をまとった、まろやかな旨味が特徴。
震災後の東北地方の風評被害に対し、積極的に良い食材を提供していこうとする横山さんの、優しく前向きな姿勢が嬉しい。
気軽に立ち寄れる アットホームな雰囲気でありながら、心のこもった本格フレンチを堪能できる貴重な一軒。 この夏、日本を元気にする男、横山シェフの料理に注目!

 

 

54Brasserie Perle  ブラッスリー ペルル

〒113-0022 東京都文京区千駄木 3-10-29 1F
TEL 03-3823-0058 FAX 03-3823-0076
定休日:月曜日、月一回火曜日
営業時間:Lunch/11:30~15:00(L.O.14:00)
Dinner/17:30~22:00(L.O.20:30)


Vol.53 『鯛(タイ)』 (3月~6月) 2014.04.15

AZ0691スズキ目タイ科。仏語で dorade ドラード。
中でもマダイは「百魚の王様」と言われ、日本では祝い魚として特に珍重される。
「エビで鯛を釣る」の譬えどおり、エビを好んで食べて、産卵を控えた春のマダイは体色も美しくなり 『桜鯛』 と呼ばれ、極上品として扱われる。
タイと名の付く魚は数多いが、マダイに準じる正真のタイと言えるものには、同じタイ科のチダイ(チコダイ)、キダイ(レンコダイ)、ヘダイ、クロダイ などがある。
刺身、焼き物、かぶと煮、タイ飯、椀物など どんな調理にも適し、フレンチのメニューにもよく登場する。

サクラチップで軽く燻して、春野菜とサラダコンポーゼに。 ベルモット酒でふっくらと蒸し、アラで取ったブイヨンに春菊のピュレと柚子の香りを加えて。 また皮を香ばしくポワレして、春キャベツと白いんげんのブレゼを付け合わせに、落花生オイル風味のソースでどうぞ。


Vol.52 『牡蠣(カキ)』 (真がき10月~2月) 2014.04.15

AZ1631仏語ではhuître。旬は秋から早春にかけてであるが、養殖・流通が発達し、最近では通年メニューから欠かせない。

夏が旬の岩がきもクリーミィーで魅力十分。
欧米では、英語でRのつかない月(5~8月)は食べてはいけないと云われるが、これは牡蠣の産卵期と一致し、生殖巣などが傷みやすい時期だからと警戒したためである。
グリコーゲン、タウリン、ミネラル、ビタミンなどを多く含み、「海のミルク」ともいわれるほど、牛乳に匹敵する高い栄養価がある。
産地としては、北海道、岩手、宮城、広島などが有名。
鮮度の良い大ぶりの殻牡蠣にはフランス風にエシャロットヴィネガーを添えて。
また、裏漉しピュレにしてロワイヤルやスープ仕立てで提供。
旨味を凝縮した牡蠣のリゾットや、香ばしくムニエルにしても美味しい。
エクロールのカキフライは、タルタルの替わりに、トリュフと半熟卵のエクラゼをソースに。
『牡蠣好きのための牡蠣づくしコース』を用意することも。


Vol.51 『韓国野菜 ドドク』 DoDuk 2014.04.15

DSCN29171韓国の 金 正來 さん(れいさん Vol.40・44) からまたまた珍しい、今度は野菜を頂いた。
日本ではあまり知られていないが、つるにんじん(蔓人参)と呼ばれているもの。
土を洗って、見た目は牛蒡か朝鮮人参。 皮を剝いたら手が少しねばねば。焼いてみると、ほくほく甘く、独特の苦味があるが、加熱するうちに苦味もやわらぐ。繊維はタケノコほどはなく、かと言って白アスパラガスとも違う。不思議な味、不思議な食感。
キキョウ科に属し、若芽、根を食用とし、疲労回復・滋養強壮・去痰効果のある生薬としても利用される。
韓国では、麺棒などで叩き、その繊維質を柔らかくしてから調理するそうで、コチュジャン・醤油・砂糖・大蒜・胡麻油等がベースの甘辛いタレを塗って焼くことが多いと聞いた。
また、皮のまま揚げたり、茹でたものを冷まして和えものにして食べるそうだ。
れいさんの勤めるお店では、焼き茄子と共にスープにして提供しているとの事。
あの三ッ星シェフ Pierre Gagnaire も気に入って、フランスに持ち帰ったとか。
れいさん、いつもいろいろと紹介して頂いて、ありがとうございます!


Vol.50 『セープ』 Cèpe (仏産9月~11月) 2014.04.15

381日本ではヤマドリタケと呼ばれるイグチ科のきのこ。
同種でイタリア産のポルチーニ porcini の呼び名のほうが広く知られているかもしれない。
ちなみに porcino の語義は「子豚」。 ずんぐり、堂々とした風格に、ナッツのような独特の強い芳香と旨味は、まさにきのこの王様。 ヨーロッパではポピュラーでありながら、日本のマツタケのように珍重されている食材。 純粋培養による栽培は難しいらしく、流通しているものは全て森林で採取されたもの。
乾燥品はとても美味なだしが出るので、ソースやピュレに利用。
フレッシュが出回る期間はわずかなので、良いものが入荷した時にはぜひ使いたい。
フライパンにバターを熱し、セープとみじん切りしたエシャロットを加えソテーして、ボルドー風 Cèpes à la bordelaise に。 またこれをオムレツの具にすることも。
なめらかなフランに仕立て、フォワグラの燻製とアワビのコンソメ蒸しを添えたり、フリカッセ(軽いクリーム煮)にして、牡蠣や帆立貝などの魚介と組み合わせる。
軸の部分とタマネギ、にんにくをみじん切りにして、挽き肉と混ぜ、傘に詰めオーヴンで焼いた Cèpes farci (ファルシ=詰め物) も喜ばれそう。


Vol.49 『荔枝(ライチ・レイシ)』 (6月~7月) 2014.04.15

DSCN26301中国南部からインドシナ半島にかけて原生する常緑小高木。
赤茶色の皮をむくと、みずみずしい白色透明な果肉が現れる。芳香に多汁で甘味がある。
唐の玄宗の妃・楊貴妃が好み、玄宗は数千里の道のりを8日8晩かけて騎馬に運ばせた
という故事で知られる。
中でも中国海南島で採れる最高のプリンセスグリーンライチは 「妃子笑(ヒシショウ)」 と呼ばれ、楊貴妃もその美味しさに顔をほころばせたとの言い伝えから名付けられたそうだ。
生果は初夏の限られた時期のみ出回る。
珍しいのでデザートにそのままお出ししたり、シャンパンに加えて食前酒で提供。
また前菜として、レモンバームでアンフュゼして赤座海老のサラダに添えてみる。